院長紹介の中の「ごあいさつ」でも述べましたが、日本は世界でも類をみない高齢化社会を迎えました。来年の2022年には団塊の世代の方が順次75歳になりますので、後期高齢者の方が全人口の5人に1人になると予想されており、このままでいくと、今から40年後の高齢化率は40%近くになると思われます。
高齢化社会で最も大きな問題はロコモティブ症候群です。ロコモティブ症候群とは、運動器の障害や衰えにより移動能力の低下をきたし、進行すると歩行困難など介護が必要になるリスクが高い状態のことです。要介護になれば、ご本人はもちろんのこと、そのご家族にも多大な負担がかかります。
要介護になる原因に目を向けてみると、1位が心疾患、2位が認知症、3位が脳血管疾患で、4位に外的要因の「骨折、転倒」となっています。骨折の原因疾患として、骨粗鬆症の予防は喫緊の課題と言えます。
健康な骨を保つには、
①筋力トレーニングや体操(家庭内ではスクワットやラジオ体操等)
②バランスの良い食事
③日光浴
④過度な飲酒を避ける
⑤喫煙しない
等がよく知られています。但し、骨の強さは遺伝の影響を受けることがありますので、上記の予防をしっかり実践していても、骨粗鬆症になる場合もあります。
ある製薬会社の調査では、50歳以上の女性の7割程度の方は骨粗鬆症がどういう病気かご存じですが、その7割の方々のうち、39%の方は検査を受けたことがないという結果でした。骨粗鬆症を知らないという3割の方は検査未実施を前提としますが、これを足すと検査を受けたことがない方は、実に約57%にもなります。
転倒で骨折してから「実は・・・」とならないためにも、50歳以上の女性の方と70歳以上の男性の方は3~6ヵ月に1回程度の検査が望ましいと言えます。骨粗鬆症と診断された場合は、内服や注射での治療もおこなっていますので、お気軽にご相談下さい。